HOMEcontents > 印刷の現場 (本町印刷 株式会社 )

 
 

 

 




分厚い扉を開き、工房へ一歩足を踏み入れると、一瞬にして印刷機の音とインクの匂いに包まれる。

大きな印刷機を前に、細かな調整をくり返す職人たち。

今では、オペレーターと呼ばれることも多いが、印刷機を動かすベテランの職人を「機長」と呼ぶ現場もある。

大きな機械、そして、紙やインクをコントロールする姿は、正に「機長」と言った方がしっくりくる。

バブル時代、印刷物の需要に生産を追い付かせるため、印刷機器のコンピューター化が進み、職人の技術よりも生産が優先された。

そして、現在。日本中のもの作りの現場と、状況は同じ。経験を積んだ印刷の職人が減り続けている。

この工房には、職人歴20年というベテラン職人たちがいる。

職人たちは、それぞれの担当する大きな印刷機を前に、俊敏に淡々と、インクをメッセージに変えていく。

 
 
 
 
まっさらな紙の上に、色がのり、文字や絵に変わる。単色機は1色を、2色機は文字通り2色を一度に刷る機械。書籍やコミックなどの印刷に使われることが多いが、2色機に2回紙を通せばカラ―を刷ることもできる。機械は職人の使い方次第で、様々な印刷が可能になる。使う職人によって取扱説明書が変わるということかもしれない。この工房は、透けるような薄い紙の印刷を得意としている。デリケートな薄紙を刷れる工房は都内でも数える程しかない。専用印刷機があるのではなく、あるのは職人たちの長年の経験と工夫だけ。
     
             
     
大きくても小さくても、道具は使う人の探究心によって役目が増えるのだと実感する。室温と湿度がしっかりと管理されている工房の中で、職人たちは、紙を扱い、色を扱い、そして技師のように機械を扱う。印刷現場がどんなにコンピューター化されても、紙やインクといった繊細な材料を使う仕事に、経験と技術がいらないわけがない。人に伝わる印刷物は、人の手から生まれる。私たちは、そんな現場を大切にしている。

協力会社
本町印刷 株式会社

創業から38年。
薄紙をする独自の技術を持つ熟練職人のいる印刷会社。